屋根材における素材の違いは、おもに施工法や形、重量です。その為、屋根材を選択する重要なポイントは下記にあります。
木造の耐震性を確保するため、建築基準法では重量が大きい瓦葺きの建物と、金属・スレートに類する軽い材料で葺いた建物に分け、壁量の計算を行う際、係数を変えています。つまり、軽い屋根のほうが壁の量が少なくて良いという事です。
屋根材によって、最低屋根勾配の規定があります。これは屋根材の形と屋根の葺き方に関係し、雨漏りを起こさない基準があるためです。屋根の勾配は住宅の外観に大きく影響することから、外観のデザインと合わせて屋根材を選択する必要があります。
屋根の構造は、地域や建物の構造により建築基準法で防火対策が規定されています。なので、最近の屋根材は不燃材が使用されています。ただし面積の小さい建物など、条件によっては緩和措置が取られています。
以上の事から屋根材は、仕上げ材として色や形から自由に選ぶ、というわけではなく、建物の構造やデザインと関連させて選択することが必要です。
種類 | 通称 | 重量kg/m2 | 屋根 | |
スレート系 | 化粧スレート(人造スレート) | カラーベスト/コロニアル | 17.5 | 3.0/10 |
天然スレート | スレート(玄昌石) | 50.0 | 4.0/10 | |
セメント系 | 厚形スレート(プレスセメント) | 洋風瓦 | 47.2 | 4.0/10 |
コンクリート | モニエル瓦 | 43.7 | 4.0/10 | |
粘土系(瓦) | 釉薬瓦(陶器瓦) | 洋風瓦 | 42.4 | 4.0/10 |
無釉瓦(素焼き瓦) | いぶし瓦 | 46.1 | 3.5/10 | |
スペイン瓦 | * | 4.5/10 | ||
S型瓦 | 38.5 | 4.0/10 | ||
金属系 | ガルバリウム鋼板 | 10.9 | (平葺)3.0/10 | |
銅板 | 4.5 | (平葺)3.0/10 | ||
カラー鉄板 ※現在ではあまり使用されません | 5.0 | (瓦棒葺)1.5/10 |
*スペイン瓦は輸入品のため、重量のデータなし。
*重量は商品によって多少の違いがあります。
参考:積算資料、建築知識、日経アーキテクチャー
セメントを高温高圧下で養生・成型した板状の合成スレートに、着色したものを「化粧スレート」といいます。薄い住宅用屋根葺き材の一つで、耐候性(風雨や日光などに耐える力)も強く、軽くて、耐震性面でも有利なことから、屋根材として広く普及しています。以前は不燃性を保つため石綿(アスベスト)を使用していましたが、現在では使用されていません。環境問題等への配慮から、石綿を使用しない製品(ゼロアスベスト)が登場し、石綿の代わりに、人工繊維や天然繊維を使用した無石綿の化粧スレートに変わっています。施工後35年以上経過した調査で、耐久性に変化は見られなかったという報告も入っています。
※「カラーベスト」とは旧クボタの登録商標で、「コロニアル」とはカラーベストのなかで最も標準的に普及している商品です
スレートとは、粘板岩のことを指し、具体的には玄昌石(げんしょうせき)を言います。玄昌石を屋根に使っている場合、天然スレート葺きと言います(玄昌石を床に使うこともありますが、この時はスレートとはいいません)。
●セメント系
セメントと砂から作った瓦です。
セメント瓦はそれ本体には防水性能がほとんどありません。防水性能維持するためには塗装が必要となってきます。アクリル系樹脂塗料や水系樹脂塗料、フッ素系樹脂塗料で塗装します。
セメント系材料は寸法精度にも優れ、施工性の点では優れている屋根材と言えるでしょう。
製法の差異により以下の2種類に分けられます。
セメントと細骨材(砂)を原料とするセメントモルタルを型枠に入れ、プレス、脱水、成形し、養生(ようじょう)後に塗料で表面処理します。石綿スレートと比較して厚みが厚いので厚形スレートの名称が生まれたと言われます。また、厚形スレートで、釉薬瓦に使う釉薬で表面処理をしたものを施釉(せゆう)セメント瓦といいます。
厚形スレートの形状には、和形、洋形、平形、S形等の種類があります。しかし最近は住宅の洋風化にともない、洋式や平形が多く商品化されています。
コンクリート瓦は厚形スレートと同じ材料で構成されますが、厚形スレートよりセメント量が少ない硬練りのモルタルで製造します。オーストラリア・モニエル社と高圧・半乾式成形の技術を共同開発し、昭和48年に日本に技術導入されたことから、モニエル瓦と呼ばれています。形は洋風タイプの洋形と平形があります。最近では、基材着色などの方法で25年の色保証を打ち出すメーカーも出てきています。
●粘土系(瓦)
粘土を使った焼きものの屋根材で、表面に釉薬が塗られている(A)釉薬瓦と、塗られていない(B)無釉瓦(素地瓦、いぶし瓦、素焼き瓦)とに大別することができます。粘土瓦は粘土をベースに焼いた瓦で、他の屋根材に比べて重量が重くなり、耐震性能を考慮する必要があります。また、表面は強く、色味に関しては半永久的にメンテナンスがいりません。年月とともに味わい深さが出てきます。
陶器瓦とも呼ばれ、プレス成形した瓦形の素地に釉薬(うわ薬)をかけて、窯の中に入れて高温で焼き上げた瓦をいいます。瓦表面の釉薬がガラス質になっているため、水が浸透せず、長い年月を経ても美しい状態を保て、メンテナンスの必要がありません。釉薬を使うことから、色が豊富にあります。形はJ形(和形)、F形(平板)、S形等があり、家の形状、デザインに合わせて使い分けられます。和風住宅だけでなく洋風住宅でも用いられています。
無釉瓦には「いぶし瓦」、「素焼瓦」などがあります。無釉瓦は、釉薬を施さず陶器の素地の色合いが出るため、お国柄が良く出ます。
「いぶし瓦」は、釉薬(うわ薬)をかけずに焼き、松材や松葉で黒色にいぶすことから、瓦全体が渋い銀色をした瓦です。釉薬瓦に比べ、耐久性が落ちます。デザイン的に、和風住宅の屋根に適していることから、日本建築のお城や寺社、和風住宅の屋根に多く使われています。
「素焼き瓦」は、釉薬を施さず陶器の自然の風合いを生かした瓦で、酸化炎焼成の赤色のため赤瓦とも言われています。色合いもナチュラルで、洋風建築によくマッチします。スペイン瓦が代表的です。
S型瓦はスペイン瓦のイメージで、日本の気候に合った商品として、日本で製作しています。
●金属系
金属葺きには、(A)鋼板、(B)銅板、(C)カラー鉄板などの種類があります。金属板は、加工しやすく施工性がよいことから、複雑な屋根形状もできて、葺き方のバリエーションが多いことが特徴です。長方形の平板を横長に葺く「一文字葺き」と、棟から軒先にかけて棒を並べたように葺く「瓦棒葺き」が代表的です。最近では、耐久性とモダンなデザイン性から、ガルバリウム鋼板の金属屋根が多用されています。
鉄板を基材としてアルミニウム、亜鉛、シリコンからなるメッキ鋼板をガルバリウム鋼板といいます。
積雪寒冷地、海岸地域、 強風地域はもとより、最近問題になってきている酸性雨や 公害地域でも使用できます。また耐久性の高いシリコンやフッ素樹脂の塗膜をしていることから、長期間メンテナンスが必要ない商品もあります。
さびない金属として日本で古くから使われています。和風住宅では、瓦葺きから1段落として葺く、腰屋根に多く使われています。 銅は緑青(ろくしょう)が出て、緑色に変色してしまうと、それ以降長期にわたって持ちます。50年持つといわれていました。しかし近年の酸性雨の影響で、耐久性が低下しています。
価格と耐久性のバランスから、現在では0.35mmか0.4mmの物を使用することが多いようです。
屋根材のメンテナンスは、(1)防水性の維持と、(2)変色等に対応する美装の2面で行われます。塗装を施す金属系屋根材は、美装と耐候性の両面から塗装をやりかえることが必要ですが、化粧スレートやセメント系瓦は美装が目的です。塗料としては、フッ素樹脂塗料(塗り替え15年〜20年)、アクリルシリコン樹脂塗料(塗り替え12年〜13年)、アクリルウレタン樹脂塗料(塗り替え8年〜10年)が使われます。
また雨漏りは、屋根材自体の劣化が原因ではなく、屋根材の葺き方のずれや、割れ、下地の防水性が関係しています。屋根材のメンテナンスというより、屋根全体を定期的に監視するメンテナンスが必要です。
種類 | 耐用年数 | 塗装について | |
スレート系 | 化粧スレート(人造スレート) | 30年〜50年(現行商品) | 美装目的で塗装(10〜15年に1回程度) |
天然スレート | 半永久的 | 無し (退色なし) | |
セメント系 | 厚型スレート(プレスセメント) | 30〜40年 | 美装目的で塗装(15〜20年に1回程度) |
コンクリート | |||
粘土系(瓦) | 釉薬瓦(陶器瓦) | 半永久的 | 無し (20〜25年褪色なし) |
無釉瓦(素焼き瓦) | 40年〜50年(ヨーロッパ製は釉薬瓦より短い) | 無し | |
金属系 | ガルバリウム鋼板 | 素地で40年 | 美装・耐候性目的で塗装(フッ素樹脂塗装の場合20年に1回程度) |
銅板 | 素地で50〜60年 | 緑青(自然酸化) |
※耐用年数は、商品で違いがありますが、種類別の一般的な考え方です
※数値は商品によって多少の違いがあります
参考:積算資料、建築知識、日経アーキテクチャー
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